MAU LIFE LOG <ムサビ通信で学んだ記録>

【マウ・ライフ・ログ】サラリーウーマンをしながら、ずっと学びたかったデザインを学ぼうと一念発起。美大通信課程の2年次に編入、人生2回目の大学生活を送る。現在3年生。目標はアイデアを形にする力を手に入れることゆえ、卒業するかは未定。仕事と大学の両立に苦労しつつ、学ぶ喜びを噛みしめる。

情報職業論 スクーリングの内容と評価 ★おすすめ科目★

*Version2. 一部修正済(3/23)*

 

今まで受けた授業の中で、学びの多いという意味でのお勧め授業を少しずつ記録しておこうと思う。

 

一般教養科目的な造形文化科目は、大抵レポートや教室で受ける試験で単位を取得する科目が多いのだが、「情報職業論」は毛色が全く違う。アクティブラーニング*1 のアプローチを取り入れながらインタラクティブな授業で、その授業内容は新しいサービスの提案をグループで行う、というビジネスより&デザイン思考な授業だ。

評価はSをいただき、とても嬉しい。T先生有難うございます。笑

 

授業の概要を記載する。

〇期間:3日間(全日午後のみ)

〇形態:スクーリングのみで単位取得可←これもポイント。最後にプレゼンをする。

  • この授業は3日間のスクーリングのみで完結するタイプの授業。3日といっても、全てPMのみで1単位取得出来るので、単位取得の観点からしてもとても有難い授業でもある。同日の日程でAMに3日連続で開講する「情報社会倫理論」も3日のみで1単位取得できるので(最終日に試験あり)、多くの生徒はAM・PMセットで受講する人が多いらしい。私も同様に受講した。2つのクラスは名前がよく似た授業だが、内容は全く違う授業なので注意。ここでは情報職業論の方を書く。

〇先生および授業の進め方について

  • 担当はT先生。IT業界の某企業でお仕事されている方だそうだ。ムサビ(通学)・基礎デザイン学科ご出身とのこと。基礎デザイン学科はグラフィックデザインやプロダクトデザインのように特定の分野のデザインを学ぶのではなく、一通り学んだ後に、課題に応じて適切な手法を選択し、課題解決する力を身に着けるコースだった(と思う)。先生はまさにそれを体現されているようで、先生のお仕事のお話、授業内容、随所にその課題志向の本質的なアプローチスタイルを感じられて興味深かった。
  • 授業の内容、進め方、構成など、全体的に授業がよくデザインされていて、授業そのもの以外でも非常に学びが大きかった。他にもこういう授業がもっと増えてほしい!と思うくらいの濃さ*2

 

〇内容

  • 基本的には先生が事前にグループ分けされた通りのグループにわかれ(6~8名くらい)、授業を受ける。
  • 授業初日の一番最初に目的、3日間の流れ、3日目に行うグループプレゼンテーションについて説明を受ける。
  • 1日目&2日目に、アイスブレーキング含むグループアクティビティ、全体のアクティビティをやる。ビジョン、ミッションについてのプチ講義を受ける。最終日の3日目にグループプレゼンを行うのだが、プレゼンに含めるべき要素のレクチャーもしてくださる。なお、そこで含めるべき「3つのサイクル図」の話があったが、それもまたとても新鮮で面白かった。IT業界の某企業にいらっしゃる経験を活かして、現場で活かされている手法も授業に取り入れてもらえるのは新鮮だ。
  • 3日目にグループプレゼン。準備時間が短くなかなか突貫工事っぽくなってしまったが、それぞれのグループで役割分担を決めながらやった。また、グループ毎のプレゼンが終わった後は、ワールドカフェ方式で、各グループ2名程度ずつが他グループをぐるぐるまわり、互いに良かった点などの評価を共有した。

 

〇面白いなと思った点

  • 授業を受ける中、折々でなるほどなぁと勉強になったのは、先にも触れたが、先生があらゆるアクティビティや学習の手法をこの授業の中で盛り込まれていたこと。上述の通りアイスブレーキングのアクティビティを、確か2つやったのだけど、1つは定番の伝言ゲームだったが、コミュニケーションがうまれて楽しかった。もう1つは確かペーパータワー。以前、米国の有名美術大学パーソンズの教授がファシリテートしてくださるワークショップでもペーパータワーをやったし、ロンドン芸術大学の教授がファシリテートしてくださるワークショップでも、ペーパータワーをやった。世界の美大ではペーパータワーが流行っているのか?笑。いずれにせよ、個人的にペーパータワーは好き。話がそれたが…様々な手法で挙げられるのは、プレゼンテーションもそうだといえるし、最後のワールドカフェ然り。
  • 最初に授業を開始出来る準備をすることを先生は「チェックイン」と称していただけど、それもユニークだと思った。最初がチェックインで、3日目の終わりは「チェックアウト」。心構えとしてもマッチした呼び方だったと思う。一般的なやり方なのか先生オリジナルなのかは聞かなかったが、いずれにせよ授業に深みを与えるスパイスは至る所に振られていたと思おう。

 

以上、トータルでは非常に学びの多い、満足度の高い授業であった。が、唯一のネガティブポイントも書いておきたい。それは受講生のレベルがあまりにも違いすぎたこと…。これは授業や先生の力量ではどうにもならないことで、また受講生のせいでもない。おそらく履修制度的な問題かもしれない。あまり長く本文に書くつもりはないので、興味がある方は脚注をご参照*3。 そういうわけで、グループによって進め方は違うかもしれないことを留意しておくと良い。先生は良く見てくださっているので、個人はもちろん、その時一緒になったグループの人と、ベストを尽くせれば良い評価をもらえると思うし、なにより学びも大きいと思う。

 

 

*1:アクティブラーニングとは、ケーススタディやグループワークなど様々なアクティビティを行いながら能動的に学ぶことができるスタイルの学習方法。教室で先生が一方的に話をするのを聞くだけの受動的な学びのスタイルと対になる概念

*2:ムサビはおそらく通学ではこういうスタイルの授業ももう少しあるのだろうけど、通信でも行うべきだと思う。従来の分野もファンデーションとしてもちろん重要なのだけど、分野を横断して課題解決する能力というのは絶対にこれから必要になる能力だ。それは通学であろうが通信であろうが同じで、むしろ、デザイン系学部を設置する美術大学である限り、無い方がおかしい。

*3:この授業は1~4年誰でも受けられるのだが、現代的なデザイン手法を用いながらIT業界のお題をグループワークでプレゼンするにあたって、現役の通学生くらいのレベルは最低限ないと、参加するのが難しい。しかし実際参加した学生の中には、ITに強い生徒もいる一方で、「アプリってどんなことができるの?」とか、「プレゼンテーションなんてやったことないし、みんなの前で話すなんて恥ずかしい」「フレームワークって、なに?」…といったレベル感の生徒もいる。レベル感があまりにも違いすぎるグループを作ると、何をどうすればよいか戸惑ってしまう学生もいるだろうし、一方で一部の学生に作業が偏ったり(分担できるレベル感にない)、ミニマムな知識がある生徒も、学ぼうと思ってきているのにわからない人に対してのパソコン教室…みたいな状況になってしまうこともある。ムサビ通信がオープンアドミッションをうたう限り、様々な学生が受け入れられるべきだと思うが、入学試験が無いというのは、こういうことなのだと実感もした。やはりせめて授業毎に受講できる順序やレベルは制限する方が良いのではないだろうか。

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