MAU LIFE LOG <ムサビ通信で学んだ記録>

【マウ・ライフ・ログ】サラリーウーマンをしながら、ずっと学びたかったデザインを学ぼうと一念発起。美大通信課程の2年次に編入、人生2回目の大学生活を送る。現在3年生。目標はアイデアを形にする力を手に入れることゆえ、卒業するかは未定。仕事と大学の両立に苦労しつつ、学ぶ喜びを噛みしめる。

読者の方の中で、美術大学のレポートを手書きで1万字書くことの意義が分かる方はいらっしゃいませんか?

2月に怒涛の勢いで提出したレポート5本が全て返却された。

 

もちろん、他にもいろいろ課題は提出しているのだが*1、2月は追い込み期間(と勝手に設定)のため、2,000字程度と指定された文章のレポートを、5本やった。

 

1本平均して2,100字手書きしているので、1万500字の手書きである。1か月の間にこれだけの文章を「手書きで」書いたことは多分人生で初めてだ。もちろん、PCを使用して書くなら、何万字と書いているかもしれない。しかし「手書きで」である。3月に入ってしばらく経つが、思い出すだけで右手首が痛く、重く感じる。もはやトラウマである。

 

私の場合、文章のレポートを作成するときは次のような順序で書く*2。それぞれにかける時間と労力の割合を、パーセンテージで示してみた。

  1. リサーチ  30%
  2. メモ作成  5%
  3. 主張の検討 15%
  4. 構成検討  10%
  5. 文章作成  25%
  6. 推敲(見直し→再構成)15%
  7. (提出)

しかし、ここに「手書き」という工程が入ったとき、次のようになる。

 

  1. リサーチ  20%
  2. メモ作成  5%
  3. 主張の検討 10%
  4. 構成検討  10%
  5. 文章作成(ドラフト&本番手書き) 50%
  6. 推敲(見直し→再構成)5%
  7. (提出)

違いは明白である。文章作成に異様に労力と時間がかかる。きもちろん、パーセンテージは全体の割合の話なので、実作業時間でいえば、パソコンで作成するより圧倒的に増える。時間でいえば約2時間~2時間30分、および、負担感は50%増し程度である。なお、5の文章作成の工程で「ドラフト」作成をいれているのは、学校指定のレポートに手書きしなければならないのだが、それがマス目があらかじめ印刷されているため、一通り文章を作ってからでないとあとで書き直すが大変なのだ。よって、いつもドラフトをパソコンであらかじめ作成している。

 

手書き作業は、仮に1本2時間として、2時間×5本で10時間である。上述の通り私の場合はドラフトをまず作ってから書くわけで、ドラフトとはいえどもはや文章はその時点で完成しているわけである。よって、既に完成したレポートを手書きで書き写す作業により、10時間もかけたのである。10時間といえば、1日の労働時間よりはるかに長く、軽く遠出できる時間だ。自分で書いていて、目から汗が出そうになるのは気のせいだろうか。

 

しかも、この手書きに合理的な理由を見いだせず、事務室に手書きでなければいけないか、パソコンで作成してはいけないか、一度質問したことがある。

 

答えは、NOであった。せめて理由を知ろうと思い、「それは、文字数を計算しやすくするために大学所定の用紙にされているのでしょうか、もしそうであればこちらで字数を記載するなり、PCの設定で原稿用紙マス目を印刷して記載することもできるが、いかがでしょうか?」と尋ねてみたところ、少し言い辛そうなトーンで、「所定の用紙と、決まっているので…」との回答であった。また、「手に不自由な方などの場合は、事前に申請をしていただくことで、配慮するなどの措置はとっております。しかし、それも事前に申請をいただく必要があるので…」とのことであった。事前に申請する際は手書きで書くのだろうか…。その時点で手書きを求められる理由はなんとなく想像できたが、念のため聞いてみた。「わかりました、では、その背景だけ理解しておきたいのですが、どのようにそれはお決めになるのでしょうか、職員の方や先生方の会議などですか。」と尋ねたところ、「先生の要望なのです…」とのことであった。

 

ショックだった。

 

平成も終わろうというこの時代に、なんら合理的な理由がなく(開示できず)、手書きを求める…?そうか、そうなのか…。

 

ただし、担当の職員の方から、救いの言葉が次に続いた。

 

「…しかし、実は色々ご要望は頂いていますので、来年度からは、Web提出可能の科目はグッと増える予定です。」

 

「…!!」

 

一筋の光が見えた気がした。職員の方とも、ノンバーバルなところで何か共感できたような気がした。"グッと"のところに力が入っていた。おそらく。

 

なお、私が学校を辞めるべきか悩んだ背景の1つには、こういう古いシステムをいまだに踏襲しているプラットホームを学びやとして選ぶことへの躊躇であった。いくら働きながら学ぶとはいえ、手書きレポートを強いる美術大学って…と。もちろんスケッチや手で何かつくる課題は全く問題ない。むしろそれは意義があるし、すべきだ。手を使って何か造る、その鍛錬の積み重ねこそが感性や感覚を鍛えるのだと思う。科学的な側面まで言及しないが、十分合理的な理由があると思う。

しかし、レポートである。

 

おっと…

 

熱くなってしまった…

 

大人げなくて恥ずかしい。

 

 

そういうわけで、来年度は手書きレポートで苦しむ学生の方は減ると思われるし、それは私も学友として嬉しい。ただし、ゼロではないらしい。前にも書いたが、5本続けてレポートを書いたことで、レポート自体はむしろ楽しいことに気付いた。なので、来年度もレポート科目はいくらか取るが、手書きレポートは遠慮したいと思う。ご容赦いただきたい。

 

*タイトルは(ブラック?)ジョークです

 

*1:ムサビの課題は、レポートであったり、作品であったり、文章や図の混在したプレゼンテーション資料であったり、予め問題が記載されているプリントに回答を記入するものであったり、様々なものがある。

*2:書いた流れはあくまで大まかな流れで、多少前後したり、1と3をやり直したるすることもある

にほんブログ村 デザインブログへ にほんブログ村 デザインブログ プロダクトデザインへ にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ